生涯剣道
首藤 成昭先生
第14回は首藤先生にお願いしました。
首藤先生は会社で社長をしながら漁師もされている先生です。そのためお忙しいと思うのですが、稽古の時間はどのように作られているだろうといつも不思議に思っていました。その答えは朝稽古でした。
本格的に剣道を始められたのは29歳になってからとのことは知りませんでした。普段首藤先生をご存知の方も新しい発見があるかもしれません。お読みください。
1.剣道を始められたのは何歳の時ですか?またその動機はなんでしたか?
5歳の時でした。兄がやっていたのでついて行ったのですが毎回雑巾がけだったので3ヶ月で辞めました。その道場は小学校3年生まで雑巾がけ、4年生から竹刀を持つことを許されたそうです。その後、中学校で3年間剣道部に所属し、高校はやめ、大学では同好会に2年程いました。
本格的に稽古を始めたのは29歳からです。動機は太り始めたので運動をして何とかダイエットしたいと思いました。
2.その頃の稽古法や稽古内容を教えてください。
今思うと幼少の時期は雑巾がけで基礎体力を作る方が良いように思います。
中学校時代、顧問の先生は初段でしたが先輩が強く、私達の代も中体連の大会で優勝しました。稽古内容は覚えていませんが先輩に追いつき追い越せと熱心に練習に励んだ記憶があります。
3.剣道をやめたいと思われた時期はありましたか?
29歳という大人から本格的に剣道に取り組んだのでやめたいと思ったことはありません。
仕事の合間を縫って稽古時間を見つけ出すことが大変でしたので段々と朝稽古をするようになりました。今も3ヶ所に防具を置いていますので毎日でも朝稽古が可能です。
4.忘れられない一本はありますか。
選手経験が少なく、市民大会にも5~6年出ましたが七機の武道小隊員と対戦することが多く1回戦を勝ち進んだことがありません。負けて、忘れたい打突は山ほどありますが、試合は負けても記憶に残ることが多く、その後の反省材料にもなったと思います。
5.恩師と慕う先生はどのような先生ですか。
29歳から本格的に始めたので先生と知り合う機会があまりありません。
ある土曜日、朝練に出掛けましたが急に中止になり時間があったので道場の雑巾がけを1人でやっていたところ田村徹先生が通りかかりました。「ひとり?30分位やろうか?」と声をかけてくれ稽古をしたことがあります。
大会で個人優勝し、上段を取る人だと雑誌で知っていましたが、上段の人と稽古をやったことないし、どうしようと考えていたところ田村先生は中段。私の竹刀が先生の防具は勿論剣道着にも触れることなく、世の中に「こんなに強い人」がいるんだと思いながら15分で終りました。強いという印象と手を抜くことなく真剣勝負で稽古してくれたと感じました。この時の印象が今でも心に焼きついています。
6.稽古の中で特に工夫されていることを教えてください。
サラリーマンだと稽古する機会は限られてきます。
基本を大切に、打たれることを恐れず、相手の心の中にまで響くような面、小手、胴を打ちたいと心掛けています。
7.「座右の銘」を教えてください。
「人身受け難し」
8.剣道関連の好きな本をご紹介ください。
『剣道時代』を時々読みます。
9.最後に今の調布の子供たちにメッセージをお願いします。
僕は小さな会社の社長で、君たちがまだ生まれていない昭和46年に会社はできました。
楽しいことも時にはありますが90%は苦しいことの連続でやめたいと思ったことも何度もあります。多くの仕事をやっていくと他の人には出来ない質の高い仕事を作りだせたりします。多くの稽古(勉強でも遊びでも)を積み重ねると抜胴が得意になったり、ライバルが出来ないような技を身につけたりすることが出来ます。剣道も、勉強も、友達と遊ぶことも、多くやってみてください。量をこなした結果として質の高いものが導き出されると思います。