生涯剣道

平原 忠先生

第9回となる今回は、中央剣道会の副会長でいらっしゃいます平原先生にお願いしました。
長年調布でご指導いただいています平原先生の剣道への取り組み方、私達へのメッセージをお読みください。

1.剣道を始められたのは何歳の時ですか?またその動機はなんでしたか?

昭和39年の頃で中学2年生でした。動機は近所に住んでいた父の友人で歯科医院を開業していた渋谷孝麿(教士)の勧めでした。

2.その頃の稽古法や稽古内容を教えてください。

当時の稽古は正しい構え方からの足さばき、素振りを中心に6ケ月間続け、その頃から剣道着を着けての基本打ち、切り返し、特に足さばきはよく注意されました。防具の着用が許されたのは始めてから1年位たってからでした。

3.剣道をやめたいと思われた時期はありましたか?

剣道の稽古に関して辞めたいと思った時期はなかったです。ただ前述に寄稿した小林先生の内容と同じですが、剣道連盟の運営に関して諸問題があった時期は少々人間関係でやめたいと思った時もありました。だが、子供達の指導があったので休む事が出来ず稽古を続けていました。するとすべて時間が、諸問題を解決の方向に導いてくれました。

4.忘れられない一本はありますか。

21歳の時、日本武道館で行っていた越年稽古に参加した時です。元立ちの先生に稽古をお願いした時、立会いの中で剣先を中心にとり、気合とともに攻めた時、手元がスッ―と前へ、一足一刀で先生の喉元へ。すると元立ちの先生が“まいった”の一言。偶然な突きだったかもしれないが、一本の気持ちが伝わったのかもしれない??
当時は“まいった”の理解が出来なかったが近頃は理解が少々できるようになったと思っています。

5.恩師と慕う先生はどのような先生ですか。

剣道を始めたきっかけの先生が渋谷孝麿教士(調布市剣道連盟元会長)でした。先生が恩師であり、また指導してくださった方でもあります。渋谷先生は戦前の中学生の大会では有名な選手であり仲間や後輩の中には戦後の剣道普及、復活に活躍された多くの先生方と親交あったようです。今自分が剣道を継続できているのも渋谷先生の影響があったからだと思っています。感謝感謝です。

6.稽古の中で特に工夫されていることを教えてください。

特別な稽古はなく普段皆さんが常に行っていることと大差はないと思います。ただ個人的な考えでは、稽古の時間が人より少ないので少しの時間でも稽古をする。出来ない時は少しでも見取り稽古をする。また色々な方と稽古をする。多くの人と剣道の話をするぐらいですか。後、常に基本を大切にと思っています。

7.「座右の銘」を教えてください。

剣道だけでなく仕事や社会生活の中で常に感じることが「一期一会」の時だと思っています。

8.剣道関連の好きな本をご紹介ください。

剣道を修行している方は一度は「五輪の書」(宮本武蔵)を読んでもらいたいと思います。難しい語句や理解出来ない所などが出てきても浅く全部を読んでおくと、後の稽古の中や社会生活の中で理解できる部分があると思います。
また高段者を目標とする方は「八段の修行」(高山幸二郎著)をおすすめします。内容は八段に合格された先生方の努力等が書かれています。出稽古や稽古量の少ない自分には大変参考になっています。

9.最後に今の調布の子供たちにメッセージをお願いします。

剣道は続けることに意味があり、剣道の特性を通じて正しい人間になってもらいたいと思います。
また調布中央会の道場訓(4節)※、を道場の中だけではなく社会生活(地域・学校・家庭)でも実行してもらいたい。特に「他人に迷惑をかけないようにしましょう」は常に心掛けてください。

最後になりましたが、今回の東日本大震災により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、そのご家族の方々に対しました、心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。

※調布中央会の道場訓
一、礼儀を正しくしましょう
一、うそをつかないようにしましょう
一、他人に迷惑をかけないようにしましょう
一、心身ともに強い人になりましょう。