春期・剣道研修会の報告

平成29年5月28日(日)神代中学校第二体育館にて、掲題研修会が下記の様に実施されましたので、結果を報告します。

研修会の内容
1.日本剣道形 9:20~12:10 講師 教士七段 鈴木 敦之 先生
2.救護法   12:15~12:40 講師 医師(錬士六段) 佐野 順次郎 先生
3.審判法   13:15~15:45 講師 教士七段 宮田 考志 先生
4.指導法   15:50~16:30 講師 教士七段 藤田 洋一 先生

「日本剣道形」
今回は講師が用意された取組み表で、同じくらいの段位と経験差で打太刀・仕太刀ペアの組み合わせができ、無理なく進行されました。
時間の都合で礼法の詳細は省き、最初は剣道形の全体を通じた留意点(抜きつつ蹲踞、構え、目付、緩急、間合、一拍子の打ち、打突部位、足の引付、残心等)について説明されました。
引き続き、形一本毎に打太刀・仕太刀の留意点についてポイントを説明し、模範を示してから実技に進み、主に打太刀が仕太刀の修正点を正し、仕太刀は打太刀の修正点を正すという方法が施行されました。他の教士七段の先生方には個別に気付いた修正点を指摘して直すサポートを行って頂きました。
これにより、各自の修正点が自覚され剣道形の上達に大きな効果があったと思われました。
一方、修正に時間を取られると打太刀・仕太刀交替の余裕が無く、一方的に終わってしまうことが多かったようです。

「救護法」
講師が用意した「運動におけるメディカルチェックと突然死について」は、図らずも剣連が今年度から取り組む「事故防止」に関わる重要な内容でした。
メディカルチェックには「健診」と「検診」の2種類があること、運動におけるメディカルチェックは癌であれ生活習慣病であれ、運動中に起こる不慮の事故に繋がりうる事象を見つけ出して対策の助言をするということ。
不慮の事故対策の中で最も重要なのは突然死を予防することですが、突然死は原因が分かるものでは心臓疾患によるものが最も頻度が高いこと。
症状発現から死亡までの時間が1時間以内の瞬間死となることもあり、他の突然死と区別して「心臓突然死」と呼ばれ、あらゆる年齢に起こりえること。
心臓突然死の引き金になるのは主に激しい運動なので、潜在的な心疾患がある場合は危険なので、その発見は心電図の高性能化に伴い重要性は高まっていること。
その他、虚血性心疾患の入り口となる生活習慣病の予防等、メディカルチェックにより突然死を予防する自身の留意点を自覚したり、場合によっては治療する等の対応が可能となる等、有意義な講義を頂きました。

「審判法」
講師が用意した資料に沿い審判の意義、審判員の心得、審判の重要な留意事項等が事前に説明され、引き続き調布市剣道大会の団体戦を想定した審判研修を実施した。
審判員の入場から試合開始前の段階まで、実際の振る舞いを見て審判旗の持ち方、立ち位置、正面への礼、相互の礼、移動の仕方等の適切な方法について説明され、正された。
ここで試合開始に先立ち、鱒澤先生から審判員交代の場合に留意し、審判員三人の動作を合わせるよう以下の説明があった。
「審判員の順次交代で、新たに入った副審が審判旗を左右の手に持つ段階で、主審と他の副審もそれに合わせ、左右の手に持ち、三人同時に両手を下ろしながら左右の体側に付ける。」やれば直ぐできることなので、今後は試合における審判の申し合わせで、直近の「調布市剣道大会」から実施することとなった。
これは見た目に美しく、見栄えもする一つの審判技術であると思われます。審判員の皆様、是非是非ご留意ください。

試合開始以降は、主審・副審の立ち位置や位置取り(主審は試合者の動きを読みながら副審二人の計四人を視野に入れ、二等辺三角形の頂点の位置取りをし、副審の同様に計四人を視野に入れながら二等辺三角形の位置取りをする。また、今回の審判研修では何度も遭遇した副審二人が一方に片寄よった時は、主審は場合により「止め!」を掛ける)を中心に、有効打突の判定(目で見る・音を聴いて・残心で判定する。多少軽くても子供の試合での擦り上げ面等の玄妙な技は取る)、旗の表示(手を伸ばして表示する際は、内側に絞り込む様にすると伸び切りが良く見栄えする)、発声等について適切なご指導を頂きました。

今回も審判研修初参加の先生方が何人かおられ、旗の持ち方(審判旗の木の一番下の部分を掌に入れて持つ)とか、審判の移動時はピョンピョン跳ねずに摺り足でとか、やってみて経験してみないと分からない事が良く分かった審判法研修でした。
審判研修の試合対戦にご協力を頂きました調布剣連・狛江市剣道連盟の選手の皆様、係員のお手伝いを頂きました皆様、ありがとうございました。

「指導法」
内容は講師が道場で行っている上級指導の「基本稽古」について、切り返し、面打ち、小手打ち、胴打ちを一本一本、丁寧に解説して実際に模範を示して実施されました。
基本技の稽古は、基本の打ちが気剣体の一致した有効打突が取れる打ちであること、大技であれ小技であれ一拍子の打ちであること、残心まで気を抜かずに打つこと等、短時間での集中した基本稽古に全員汗を流し、気持ちの籠った稽古ができて気持ちの良い指導法研修を頂きました。

今回は調布の各道場に加え狛江からも、多くの方が参加され充実した研修会となりました。講師の先生方、サポートを頂きました教士の先生方、誠にありがとうございました。また、ご参加いただきました皆様、お疲れ様でした。